社労士開業失敗の反省から学んだこと

社労士とは何か、定義、開業成功社労士の業務、起業とは何か、開業準備の全体像、顧問先を着実に開拓できる仕組み、他

社会保険労務士の実像

 これは確かな根拠がある大変衝撃的な事実ですが、社会保険労務士は、弁護士や公認会計士と同様に、年収(報酬額)3千万円以上の安定継続収入が可能な国家資格です。

 しかし、大変多くの社会保険労務士が、残念ながら「開業準備の全体像」と「社労士の業務」を知らないため、顧問先を全く開拓できないか、たまたま開拓できても顧問契約を長く継続させることができずに、廃業に追い込まれているのが実情です。

 今、世の中に出回っている社労士事務所の顧問契約数や業務内容、年収(報酬額)など社会保険労務士の実像に関する情報は、ほとんどが確かな根拠が無い情報ですので、安易に鵜呑みにすることはできませんが、

 1つだけ、確かな根拠がある信頼できる情報があります。

 それは、全国社会保険労務士会連合会の「月刊社会保険労務士」平成21年(2009年)8月号で発表された「基本調査結果概要」です。

 これは当時、全国社会保険労務士会連合会が「社労士の実情」について、社会保険労務士名簿に登録されている全ての社労士を対象にして、アンケート調査した結果を発表したものです。

 ただし、アンケートの回収率が2割弱と極めて低く、顧問先を1社も開拓できていない、または、数社しか開拓できていない大部分の社労士事務所はアンケートに回答していない状況が推定されます。

 また、当時は「特定社会保険労務士」という資格や、第1号業務から第3号業務とは別に、その他業務(仮称)として「裁判所における補佐人業務」がまだなかったことに留意してください。

 そして、もう10年以上前のデータですので、今は恐らく、社会保険労務士名簿への登録社会保険労務士事務所の数がかなり増えている一方で、社会保険労務士事務所の顧問契約数がさらに減って、年収(報酬額)もさらに減っていることが予想されます。

 しかし、最も正しい「社会保険労務士の実像」を知ることができるデータだと思います。そこで、

 全国社会保険労務士会連合会の「月刊社会保険労務士」平成21年(2009年)8月号「基本調査結果概要」を整理しますと、次のようになります。

 ただし、当時、全国社労士会連合会が社労士名簿で把握している開業社労士の人数は、20,987人で、そのうち3,910人(18.6%)からアンケートの回答を得た結果です。

 開業年数は、10年未満が55%と過半数を超えます。

 社労士事務所使用人数は、ゼロが44.8%、1人が25.7%で、社労士1人事務所が約半分、使用人数1人以下で約7割です。

 社労士事務所の平均受託事業所数は、23.6事業所で、平成14年に発表された34.1事業所を大幅に下回っています。

 受託事業所の業種別構成は、
 ①製造業20.8%、②土木建設業19.3%、③サービス業18.8%、④卸・小売業16.5%、となります。

 社会保険労務士事務所の業務範囲は、
 ①1号、2号、3号全てが60.4%、②主として1~2号が26.1%、③主として3号が11.4%、となっております。

 また、報酬額が1千万円以上の社労士は、1号・2号・3号業務の全てを受託している割合が、全体平均より突出して高いという実態があります。

 アンケートに回答した社会保険労務士だけで、報酬額3千万円以上が229名、報酬額1千万円以上3千万円未満が491名存在します。

 最後に、社会保険労務士事務所の8割以上がインターネットを利用していますが、Webサイトを作成しているのは、27.8%で3割に満たないという実態にあります。

 この結果から、報酬額1千万円以上を開業成功としますと、平成20年の時点で、開業社会保険労務士約2万人のうち、開業成功社会保険労務士の人数は、アンケート未回答者を含めたとしても、1千人弱程度と推定されます。

 このため、社会保険労務士が独立開業しても、成功確率は5%弱程度で、開業社労士の95%以上は開業成功できない現状が推定されますが、報酬額3千万円以上の開業社会保険労務士も少なからず存在することにご注意ください。

 ただし、開業社労士の95%以上が開業成功できない原因は、主に次の2つだと思います。

 先ず1つは、大変多くの社会保険労務士が「社労士とは労働社会保険諸法令の専門家だ」という勘違いをして、労働社会保険諸法令の知識の維持や充実にこだわり、社会保険労務士の本当の仕事、即ち、企業の給与計算を中心とした人事労務の専門知識や経験を十分に保有していないためです。

 もう1つは、大変多くの社労士が会社員や公務員等として限られた少数分野の業務経験しか保有していないため、社労士事務所の経営者として、広告宣伝担当者として、IT担当者として、営業担当者として、経理担当者としての、非常に幅広いバランスが取れた本質的基礎知識(原理原則の知識)や経験が不足しているからです。

 即ち、大変多くの社会保険労務士が開業準備の全体像と社会保険労務士の業務を知らないため、安易な開業準備をして廃業に追い込まれているのが社会保険労務士の実像なのです。

 社会保険労務士/社労士とは何か、その定義や真実を知りたい方は、

 ウエブサイト「社会保険労務士/社労士定義」を参照してください。

 社会保険労務士や社労士受験生の方のご健闘をお祈り申し上げます。

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